特集
ミミズを飼うという革命

自宅でミミズを飼っている。
じつに簡単だ。
庭のすみに古板で囲いをつくり、そこに落ち葉や木の枝を積み上げ、生ゴミやイヌやヤギのフンを埋め、家まわりの側溝から引き上げた泥を投入する。あとは乾燥がひどい夏や冬には水を撒く。それだけである。
春になって地温が上がるとミミズが猛然とわいてくる。サイズもさまざま。いつでも釣り餌が調達できるので、思い立ったらすぐに近所にフナ釣りに出かけることができる。
ミミズコンポストを作るワークショップは、このミミズの養殖場を作る。土の地面はなくても大丈夫だ。白木のボックスを組み立ててかっこいいのを作ろう。 生産者=光合成などで有機物をつくる 消費者=それを食べる 分解者=有機物を無機物にもどす 生態学はこんなふうに生物を分類する。ミミズは分解者で、これを飼うというのはつまり自宅に分解者を招き入れるということだ。
現代の住宅には分解者はいなくなってしまった。庭で落ち葉を焚いたり、堆肥を作ったりという自宅処分は、実質的に奪われ失われている。昔の家には、堆肥場や糠(ぬか)床、味噌樽など、分解者に仕事をしてもらう装置があった。いまは不要物はぜんぶ廃棄物に分類して、廃棄物処理業者に押しつけるようになった。
ヒトをふくむ動物は消費者だが、ヒトの腸にもミミズやヤギの消化管のなかにも細菌がいて分解活動をおこなっている。われわれ動物は細菌自体やその排泄物を「栄養」と呼んで吸収している。消費者と分解者の境目は入れ子になっていてじつは判然としないのが生態系だ。複雑なのである。
人間の社会は複雑な生態系を単純化してきた。ヒトの脳の処理能力は大したことがなく、複雑なことを複雑なままに理解できないからだ。ヒトの想像力で作られた都会は、脳の限界をそのまま反映している。だから都会生活というのはどんどん単純化していく。判で押したような生活は、あなたが選んでいる。
そんな時代に分解者を家に招き入れるというのは、かなり画期的なことなのだ。温故知新。復古創新。
ミミズが分解したゴミは良質の肥料になる。そして廃棄物処分場の負担も減らすことになる。このミミズは、4月に開催する予定のフナやコイ、ナマズやウナギの釣りにつながり、煮付けや蒲焼きに直結していく。
楽しみにしておいてほしい。
ランバージャックス自然学校校長
岡本篤
▶︎二月の講座は下記のpeatixより
https://peatix.com/event/4801098
